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医療情報についてのご注意

当サイトは医療機関ではありません。掲載内容は添付文書・審査報告書・厚生労働省・学会などの公開資料を整理したもので、効果・安全性を保証するものではなく、医師の診断・治療に代わるものではありません。マンジャロ(チルゼパチド)の効能は2型糖尿病で、肥満治療目的・痩身目的での使用は国内で承認されていない目的での使用にあたります。使用の可否・量・リスクは必ず医師・薬剤師にご相談ください。(本記事の確認日:2026年10月31日)

マンジャロの副作用|吐き気はいつまで?増量の時期に多くその後減少、はげる・すぐ受診する症状も添付文書で整理

マンジャロ(成分名:チルゼパチド)の副作用を調べている人に向けて、添付文書(PMDAの医療用医薬品の詳細表示・第11版 2026年9月改訂)、審査報告書、厚生労働省の通知と注意喚起のページ、日本肥満学会のステートメントをもとに、副作用の種類・割合・いつまで続くか・すぐ受診する症状を整理しました。同じ成分のゼップバウンドと、セマグルチドのウゴービも並べています。確認日は2026年10月31日です。

マンジャロの添付文書の効能又は効果は「2型糖尿病」だけです。厚生労働省は、マンジャロなどについて「これらの医薬品を美容・痩身・ダイエット目的で使用した場合の安全性及び有効性は確認されておらず」としています。痩せる目的での使用は承認の範囲の外(適応外・自由診療)です。

この記事は、副作用が出たときに自分で判断するためのものではありません。気になる症状があれば、処方した医師か薬剤師に相談してください。

先に答え:マンジャロの副作用は?いつまで続く?(2026年10月31日確認)

  • 多い副作用:吐き気(悪心)・嘔吐・下痢・便秘・腹痛・消化不良・食欲減退。添付文書で5%以上の区分です
  • 割合:日本人の2型糖尿病の患者の国内試験(GPGO試験・52週)で、副作用が報告された人は5mg群52.8%・10mg群51.9%・15mg群60.6%でした
  • いつから・いつまで:吐き気などが初めて出るのは、量を増やしていく期間(用量漸増期間)が最も多く、症状が続いている人の割合もその期間が最も高く、その後減ったと審査報告書にあります。何日目に出て何日続くかの記載は見つけられませんでした
  • すぐ受診:嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛(急性膵炎の初期症状)、高度の便秘・おなかの張り・続く腹痛・嘔吐(イレウス=腸閉塞)。意識がぼんやりする・強い眠気・呼吸が速く深い・息苦しいときは、日本肥満学会が救急要請も含めて直ちに受診を検討するよう書いています
  • はげる?:マンジャロの添付文書には脱毛の記載が見つかりません。同じ成分のゼップバウンドと、ウゴービの添付文書には「脱毛症」(1〜5%未満)があります
  • 使ってはいけない人:成分に過敏症の既往がある人、糖尿病性ケトアシドーシス・1型糖尿病の人、重症感染症・手術等の緊急の場合。妊婦には投与しません
  • 痩せる目的:安全性と有効性は確認されていません。重い健康被害が出ても、救済制度の給付を受けられない可能性が非常に高いと厚生労働省は書いています

出典は記事末尾の添付文書・厚生労働省などの資料。

この記事の作り方

  • 参照した資料:マンジャロの添付文書(第11版・2026年9月改訂)、ゼップバウンドの添付文書(第6版・2026年9月改訂)、ウゴービ皮下注SDの添付文書(第7版・2026年6月改訂)。いずれもPMDA(医薬品医療機器総合機構)の医療用医薬品の詳細表示で読みました
  • 試験の数字:マンジャロの審査報告書(2022年)、ゼップバウンドの審査報告書(2024年)、ゼップバウンドの最適使用推進ガイドライン(肥満症・令和7年3月、令和8年5月改訂)
  • 美容・痩身目的の使用:厚生労働省の注意喚起のページ、2026年6月16日の通知と10月14日の再周知の通知、PMDAの「医薬品適正使用のお願い」No.18(2026年10月)、国民生活センターの2026年6月23日の公表、日本肥満学会のステートメント(2025年4月10日改訂・2026年10月1日付)
  • 確認日:2026年10月31日
  • 載せないもの:口コミ・体験談・個人の体重の変化の報告・クリニックの宣伝。副作用が出るかどうか・どれくらい続くかは人によって違うため、この記事の数字は試験や報告の数字として読んでください
  • 今回参照していない資料:患者向医薬品ガイド、くすりのしおり

マンジャロの副作用は?(重大な副作用と、その他の副作用)

添付文書は、副作用を「重大な副作用」と「その他の副作用」に分けています。頻度は、資料の書き方のまま載せます。「頻度不明」は、添付文書に割合が示されていないものです。

マンジャロの重大な副作用(添付文書 第11版・2026年9月改訂「11.1 重大な副作用」)
副作用頻度添付文書に書かれている症状・対応
低血糖頻度不明脱力感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦(ふるえ)、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常等。インスリン製剤やスルホニルウレア剤と一緒に使うと、意識を失う重い低血糖の報告もあります
急性膵炎0.1%未満嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等
胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸胆嚢炎 頻度不明/胆管炎 0.1%未満/胆汁うっ滞性黄疸 頻度不明腹痛等の腹部症状(8.10)
アナフィラキシー、血管性浮腫(重いアレルギー)いずれも頻度不明症状の例は11.1には書かれていません
イレウス(腸閉塞を含む)頻度不明高度の便秘、腹部膨満(おなかの張り)、持続する腹痛、嘔吐等
マンジャロのその他の副作用(添付文書 第11版・2026年9月改訂「11.2 その他の副作用」)
頻度の区分副作用
5%以上悪心(吐き気)、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退
1〜5%未満腹部膨満、胃食道逆流性疾患、おくび(げっぷ)/注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹等)/膵アミラーゼ増加、リパーゼ増加、体重減少(検査)/疲労
1%未満心拍数増加、低血圧、血圧低下/鼓腸(おなかにガスがたまる)/胆石症/糖尿病網膜症/過敏症(湿疹、発疹、そう痒性皮疹等)/味覚不全、異常感覚

マンジャロの副作用の割合・確率は?

添付文書には、日本人の2型糖尿病の患者を対象にした国内試験(GPGO試験)の副作用の割合が載っています。マンジャロ5mg・10mg・15mgと、別のGLP-1受容体作動薬のデュラグルチド0.75mgを、週1回・52週間使った試験です。マンジャロはどの群も2.5mgから始め、4週間ごとに2.5mgずつ増やしました。痩せる目的で使った人の試験ではありません。

国内試験(GPGO試験・日本人の2型糖尿病の患者636例・52週)の副作用の割合(マンジャロの添付文書 第11版「17.1.2」)
群副作用発現頻度主な副作用
マンジャロ5mg(159例)52.8%(84例)便秘13.8%、食欲減退13.8%、悪心11.9%、下痢10.1%
マンジャロ10mg(158例)51.9%(82例)悪心19.6%、便秘16.5%、食欲減退12.0%
マンジャロ15mg(160例)60.6%(97例)食欲減退21.3%、悪心19.4%、便秘11.9%
デュラグルチド0.75mg(159例)37.1%(59例)便秘8.8%、悪心6.9%、下痢3.8%、食欲減退4.4%

同じ添付文書には、海外も含めた2型糖尿病の患者の試験(GPGK試験・40週)もあり、副作用発現頻度は5mg群33.9%・10mg群46.3%・15mg群41.3%・プラセボ(有効成分の入っていない注射)群23.5%と報告されています。

同じ成分チルゼパチドを肥満症の薬として使うゼップバウンドの試験(GPHK試験・2型糖尿病の無い肥満の人など・日本人を含む国際共同試験・72週)では、副作用は次のとおりでした。

GPHK試験(72週)の副作用の割合(ゼップバウンドの最適使用推進ガイドライン 肥満症・令和7年3月(令和8年5月改訂)表9の「副作用」の列)
副作用プラセボ群(637例)5mg群(624例)10mg群(628例)15mg群(628例)
すべての副作用30.5%55.6%62.3%61.1%
悪心(吐き気)8.0%21.0%30.7%28.5%
下痢5.7%15.4%17.8%19.1%
便秘4.1%13.5%14.0%10.0%
嘔吐0.8%6.7%10.0%10.7%
食欲減退3.0%8.8%11.0%7.3%

副作用が報告されなかった人の割合は、GPGO試験の5mg群で47.2%、GPHK試験の5mg群で44.4%です(100%から副作用発現頻度を引いた、当編集部の計算)。誰に副作用が出ないかを事前に見分ける方法は、読んだ資料に記載を見つけられませんでした。

マンジャロの副作用はいつから・いつまで?何日目に出る?

マンジャロの審査報告書(2022年)は、国内の2つの試験(GPGO試験・GPGP試験)で、吐き気・便秘・下痢・嘔吐の時期を調べています。これらの症状は「初回発現は用量漸増期間に最も多く」、量を決めた用量(維持用量)に達してから4週間以降に初めて出た人は少なかったと書かれています。症状が続いている人の割合(有病割合)も「用量漸増期間に最も高く、その後減少した」とあります。

用量漸増期間とは、2.5mgから始めて4週間ごとに量を増やしていく期間のことです。ゼップバウンドの審査報告書(2024年)も、国内の試験(GPHZ試験)で便秘・悪心・下痢・嘔吐の「初回発現時期は主に用量漸増期間であり」と書いています。

何日目に出るか、1回の注射のあと何日続くかは、添付文書・審査報告書・最適使用推進ガイドラインに記載を見つけられませんでした。

なお、マンジャロは週1回の持続性の薬です。添付文書は「本剤中止後も効果が持続する可能性がある」として、やめたあとの副作用にも注意するよう医療者に求めています。

マンジャロの吐き気はいつまで?対処法・吐き気止めは?

吐き気がいつおさまるかは、上に書いた試験の傾向(量を増やしていく期間に最も多く、その後減った)のほかに、記載を見つけられませんでした。吐き気の割合は、GPGO試験の5mg群で11.9%、15mg群で19.4%でした(2型糖尿病の患者・52週)。GPHK試験の5mg群では21.0%でした。

対処について、添付文書は医療者向けに次のように書いています。

  • 量の調整は医師が判断:「胃腸障害等の発現により忍容性が得られない患者では減量又は漸増の延期を考慮すること。」(7.3)。忍容性が得られない=副作用がつらくて続けられない、という意味です。自分で量を変えずに、処方した医師に伝えてください
  • 脱水に注意:「下痢、嘔吐から脱水を続発し、急性腎障害に至るおそれがある」(8.12)
  • 膵炎の可能性:胃腸障害が出た場合は、急性膵炎の可能性も考えるよう書かれています(8.7)

吐き気止めを一緒に使ってよいかについては、マンジャロの添付文書の併用注意の表に吐き気止めは載っておらず、記載を見つけられませんでした。市販の薬や人からもらった薬を自己判断で使わず、処方した医師か薬剤師に相談してください。

日本肥満学会のステートメント(2026年10月1日付)の別紙は、むかつき・吐き気・嘔吐・腹痛について、薬の副作用としても生じるが、ケトーシス(極端な食事制限などで体内にケトン体が増えた状態)の「代表的な症状でもあります」と書き、「これらの症状を薬の副作用だけによるものと判断せず」注意するよう求めています。食事を大きく減らしながら使っている場合は特に、吐き気をふだんの副作用だと決めつけないことが大切です。

マンジャロの副作用で、すぐ受診する症状は?

すぐ受診する症状(マンジャロの添付文書 第11版・日本肥満学会「安全な減量に関するステートメント」別紙 2026年10月1日付・PMDA「医薬品適正使用のお願い」No.18 2026年10月)
症状考えられること(資料の書き方)資料
嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛急性膵炎の初期症状。使うのをやめて速やかに医師の診断を受ける添付文書 8.6
高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐イレウス(腸閉塞を含む)。投与を中止する添付文書 11.1.5
腹痛などのおなかの症状胆石症・胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸のおそれ添付文書 8.10
脱力感、強い空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、ふるえ など低血糖。糖質を含む食品をとるなどの処置(α-グルコシダーゼ阻害剤を併用中はブドウ糖)添付文書 11.1.1
甘酸っぱい口臭/むかつき・吐き気・嘔吐・腹痛/食事や水分が摂れない/強い全身倦怠感ケトーシス関連事象の兆候の可能性日本肥満学会 別紙
意識がぼんやりする、強い眠気がある、呼吸が速く深い、息苦しい重症のケトアシドーシスに至っている可能性日本肥満学会 別紙
嘔吐、食事・水分が摂れない直ちに投与を中止し、医療機関を受診するPMDA No.18

急性膵炎について、添付文書は「急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること。」と書いています。イレウスについては「高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。」です。

日本肥満学会の別紙は、減量目的でGLP-1受容体作動薬などを使う人に向けて、ケトーシス関連事象の兆候があれば「薬剤の使用と食事制限を直ちに中止し、速やかに医療機関の受診を検討してください。」と書いています。意識がぼんやりする・強い眠気・呼吸が速く深い・息苦しいときは、命に関わることもあるとして「救急要請を含めて、直ちに医療機関への受診を検討してください。」としています。

PMDAの「医薬品適正使用のお願い」No.18(2026年10月)は医療者に向けて、「使用中、嘔吐、食事・水分が摂れない等の症状があるときは、直ちに投与を中止するとともに、医療機関を受診するように患者に説明してください。」と求めています。

マンジャロではげる?髪の毛が抜ける?

マンジャロの添付文書(第11版)の副作用の項と、マンジャロの審査報告書(2022年)には、脱毛の記載を見つけられませんでした。一方、同じ成分のゼップバウンドの添付文書は、その他の副作用の1〜5%未満に「疲労、浮動性めまい、脱毛症」を挙げています。ウゴービの添付文書も1〜5%未満に脱毛症を挙げており、2026年6月の改訂(第7版)の印が付いています。

脱毛についての記載(各添付文書・ゼップバウンドの最適使用推進ガイドライン 表9・マンジャロの市販直後調査 第2回中間結果)
資料脱毛についての記載
マンジャロ 添付文書(第11版・2026年9月改訂)記載を見つけられませんでした
ゼップバウンド 添付文書(第6版・2026年9月改訂)脱毛症 1〜5%未満
ウゴービ皮下注SD 添付文書(第7版・2026年6月改訂)脱毛症 1〜5%未満(2026年6月改訂の印)
GPHK試験(ゼップバウンド・72週)の有害事象脱毛症 プラセボ群0.9%・5mg群5.1%・10mg群4.9%・15mg群5.7%
GPHK試験(ゼップバウンド・72週)の副作用脱毛症 プラセボ群0.3%・5mg群1.3%・10mg群1.3%・15mg群1.1%
マンジャロの市販直後調査(2023年4月18日〜6月18日の自発報告 498例616件)副作用の一覧に「脱毛症」があります

有害事象は薬との関係を問わず試験中に起きたこと、副作用はそのうち薬との関係が否定できないと判断されたものです。脱毛がなぜ起きるのか、いつまで続くか、元に戻るかについては、読んだ資料に記載を見つけられませんでした。

マンジャロで寒気・眠気・発熱・精神の症状は出る?

寒気・眠気・発熱・精神・かゆみ・めまいの記載(マンジャロ・ゼップバウンド・ウゴービの添付文書ほか。2026年10月31日確認)
症状マンジャロの添付文書ほかの資料
寒気・寒い寒気・悪寒という語の記載は見つけられませんでした。低血糖の症状の例に「冷汗」があります記載を見つけられませんでした
眠気副作用の項に記載を見つけられませんでした日本肥満学会の別紙は「強い眠気がある」を重症のケトアシドーシスの可能性を示す症状に挙げています/市販直後調査の自発報告の一覧に「傾眠」があります
発熱記載を見つけられませんでした市販直後調査の自発報告の一覧に「発熱」があります/PMDA No.18の報告症例の1つでは、発熱・頻回の嘔吐・倦怠感のあと、飢餓性ケトアシドーシスと診断されています(適応外の使用)
精神(気分の落ち込みなど)「精神神経系」の欄は味覚不全、異常感覚(1%未満)で、気分の症状の記載は見つけられませんでしたゼップバウンドの審査報告書・日本肥満学会2025(下に書きました)/ウゴービの添付文書に不眠症(0.5〜1%未満)
かゆみ注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹等)1〜5%未満/過敏症(湿疹、発疹、そう痒性皮疹等)1%未満-
めまい低血糖の症状の例に「めまい」ゼップバウンドとウゴービの添付文書に浮動性めまい(1〜5%未満)

気分の変化について、ゼップバウンドの審査報告書(2024年)は、試験の結果から「本剤投与とうつ病及び自殺関連事象との関連性は示されなかった」としています。ただし試験では、うつ病などの精神疾患や自殺企図の既往のある人が除かれており、「それら患者におけるリスクは不明」とも書かれています。日本肥満学会のステートメント(2025年4月10日改訂)は、特に高度肥満症では「メンタルヘルスの変化にも注意し」と書いています。

市販直後調査の数は、医療機関からの自発報告を数えたもので、副作用が出る割合ではありません。

マンジャロは肝臓・膵臓に影響する?

  • 膵臓:重大な副作用に急性膵炎(0.1%未満)があり、検査値の膵アミラーゼ増加・リパーゼ増加が1〜5%未満です。添付文書は「膵炎と診断された場合は、再投与は行わないこと。」と書き、膵炎の既往歴のある人を注意が要る人に挙げています(9.1.2)
  • 胆のう・胆管:重大な副作用に胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸、その他の副作用に胆石症(1%未満)があります
  • 肝臓:マンジャロの添付文書の副作用の項に、肝機能障害(肝臓の検査値の異常)の記載は見つけられませんでした。肝機能障害のある人に1回使った薬の濃度の試験は載っています(16.6.2)。ゼップバウンドのGPHK試験では、5mg群で亡くなった1例(肝不全)が副作用と判断されたと最適使用推進ガイドラインに書かれています

マンジャロは危ない?安全性と将来(長い目で見たリスク)は?

  • 甲状腺:ラットの2年間の試験で甲状腺C細胞腫瘍の増加が見られています(15.2)。添付文書は「甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対する本剤の安全性は確立していない。」としています。日本の添付文書では禁忌(使ってはいけない人)ではありませんが、日本肥満学会のステートメント(2025年)は「米国ではこれらの患者への投与は禁忌である」ことに留意するよう書いています。添付文書は医療者に、甲状腺に関係する症状の確認も求めています(8.8)
  • 目(NAION):2026年9月の改訂(第11版)で、「非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の発現リスク増加の可能性を示唆する観察研究等が報告されている。」が加わりました(薬との因果関係は明らかではない、という書き方です)。NAIONは、目の神経への血の流れが悪くなって見え方が悪くなる病気です
  • 体重が少ない人:「投与開始時のBody Mass Index(BMI)が23kg/m2未満の患者での本剤の有効性及び安全性は検討されていない。」(8.9)
  • 長期:添付文書に載っている試験は40〜52週、ゼップバウンドのGPHK試験は72週です。何年も使い続けた場合の安全性を示す資料は、今回読んだ範囲では見つけられませんでした

マンジャロを使ってはいけない人(禁忌)・注意が要る人は?

マンジャロの禁忌と、注意が要る人(添付文書 第11版・2026年9月改訂「2. 禁忌」「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」)
区分内容
禁忌(投与しない)2.1 成分に対し過敏症の既往歴のある人/2.2 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の人/2.3 重症感染症、手術等の緊急の場合
注意が要る人(9.1)重症胃不全麻痺等の重い胃腸障害のある人/膵炎の既往歴のある人/低血糖を起こすおそれがある人(脳下垂体機能不全・副腎機能不全、栄養不良・飢餓状態・不規則な食事・食事量の不足・衰弱、激しい筋肉運動、過度のアルコール摂取)/増殖糖尿病網膜症などのある人/腹部手術の既往又はイレウスの既往のある人/全身麻酔又は深い鎮静を受ける人
妊娠・授乳(9.4〜9.6)妊婦には投与せずインスリン製剤を使う/妊娠する可能性のある女性は投与中と最終投与後1ヵ月間の避妊/授乳は継続か中止かを検討
高齢者(9.8)体重も含め、状態を見ながら慎重に投与

妊娠について、添付文書は「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリン製剤を使用すること。」と書き、妊娠する可能性のある女性には「本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。」としています。ウゴービの添付文書は「2ヵ月以内に妊娠を予定する女性では本剤の投与を中止すること。」です。授乳については「ヒト母乳中へ移行することがある。」とあります。

飲む避妊薬(経口避妊薬・ピル)について、マンジャロとゼップバウンドの添付文書は併用注意に挙げ、「特に投与開始初期又は漸増後初期では併用する経口避妊薬の効果を減弱させるおそれがある。」と書いています。理由は、胃から腸へ食べ物が送られるのを遅らせる作用です。

手術や胃カメラなどで全身麻酔・深い鎮静を受けるときについて、2026年5月の改訂(第10版)で「術前の絶食指示を遵守したにもかかわらず、全身麻酔又は深い鎮静下で誤嚥が生じた症例が報告されている。」が加わりました。誤嚥は、胃の中のものが気管に入ることです。使っていることを、手術や検査の担当の医師に伝えてください。

また「本剤はチルゼパチドを含有しているため、ゼップバウンド等他のチルゼパチド含有製剤と併用しないこと。」とあります。打ち方・打ち忘れ・一緒に使う薬はマンジャロの使い方と打ち忘れの記事にまとめています。

添付文書は2025〜2026年にどう改訂された?

副作用・注意に関係する主な改訂(マンジャロの添付文書 第10版・第11版の改訂の印、PMDA「使用上の注意」の改訂について 2025年7月30日)
時期改訂の内容
2025年7月30日(PMDAの公表)重大な副作用に「イレウス」、注意が要る人に「腹部手術の既往又はイレウスの既往のある患者」を追記。チルゼパチドでは国内22例の報告のうち、因果関係が否定できない症例が2例とされています
2026年5月(第10版)全身麻酔又は深い鎮静下の誤嚥(9.1.6)/ワルファリンなど治療域の狭い飲み薬との併用注意
2026年9月(第11版)非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の観察研究等の報告(15.1.2)

美容・痩身目的で使うときの副作用の注意は?(厚生労働省の通知 6月16日・10月14日)

  • 2026年6月16日の通知:厚生労働省は都道府県などに向けて、GLP-1受容体作動薬などが一部の医療機関で「美容や痩身を目的に使用されている実態があることが確認されています」とし、「適応外で使用された場合の安全性及び有効性は確認されておらず」と書きました。医療者には、副作用を報告するときに「適応外使用(美容目的)」などと書くよう求めています。適応外の医薬品を使う自由診療の広告は原則禁止であることも書かれています
  • 2026年10月14日の再周知の通知:日本肥満学会のステートメント(10月3日付で周知)を受け、美容や痩身を目的に使われた場合に「ケトーシス関連事象に係る副作用報告を受けているところです」としています(薬との因果関係は不明、という書き方です)
  • PMDA No.18(2026年10月):美容・痩身目的で使われた際の副作用報告をまとめ、消化器症状・ケトーシス関連事象・低血糖・膵炎などの報告と、報告症例を載せています。資料は「副作用の発現頻度を示すものではない」と書いています
  • 個人間の売買:厚生労働省のページは「GLP-1受容体作動薬等をインターネット等で個人間売買することは違法です。」とし、SNSやフリマサイトで手に入れた薬には偽造医薬品などが含まれている可能性があるとしています
  • 救済制度:医薬品副作用被害救済制度は、薬を適正に使ったのに起きた重い健康被害に給付する公的な制度です。厚生労働省のページは、美容・痩身目的の適応外使用では「救済制度の救済給付を受けられない可能性が非常に高いです。」と書いています。PMDAは「適正な使用」について、「医薬品の容器あるいは添付文書に記載されている効能効果、用法用量、使用上の注意にしたがって、使用されることが基本となります」と説明しています(個別の事例は総合的に判断される、とも書かれています)
  • 国民生活センター(2026年6月23日):痩身のためにGLP-1受容体作動薬を処方されたら、意図せず定期購入になっていた相談事例を紹介し、「美容・痩身・ダイエット等を目的とする不適正使用については安全性と有効性は確認されていません。」と書いています。困ったときの相談先は消費者ホットライン188です。解約・返金の条件は医療ダイエットのオンライン診療の解約・返金の記事で7社を比べています

日本肥満学会のステートメント(2026年10月1日付)は、目的について、減量のリスクに注意を呼びかけるもので「適応外の薬剤を用いた減量を推奨するものではありません」と書いています。

ウゴービ・ゼップバウンドの副作用は?マンジャロとの違い

副作用の記載の違い(マンジャロ 第11版・ゼップバウンド 第6版・ウゴービ皮下注SD 第7版の添付文書。2026年10月31日確認)
項目マンジャロゼップバウンドウゴービ
成分チルゼパチドチルゼパチドセマグルチド
効能又は効果2型糖尿病肥満症(条件あり)・中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(条件あり)肥満症(条件あり)・肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(条件あり)
急性膵炎0.1%未満0.1%未満0.3%
イレウス頻度不明頻度不明0.3%
5%以上の消化器の副作用悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退悪心、下痢、嘔吐、便秘、消化不良、おくび、腹痛、腹部膨満(食欲減退も5%以上)
頭痛その他の副作用に記載なしその他の副作用に記載なし5%以上
浮動性めまい記載なし1〜5%未満1〜5%未満
脱毛症記載なし1〜5%未満1〜5%未満
注射部位反応1〜5%未満5%以上1〜5%未満
不眠症記載なし記載なし0.5〜1%未満
妊娠を考えるとき最終投与後1ヵ月間の避妊最終投与後1ヵ月間の避妊2ヵ月以内に妊娠を予定する女性は中止

3つとも、重大な副作用に低血糖・急性膵炎・胆嚢炎などとイレウスがあり、全身麻酔の誤嚥の注意とNAIONの記載もあります。GLP-1ダイエットとして使われる薬の副作用も、まずはこの添付文書の書き方で確かめてください。薬の違いと保険で使える条件はマンジャロ・ゼップバウンド・ウゴービの違いの記事、試験で体重がどれだけ変わったかは体重の変化の記事にまとめています。

資料に書かれていないこと

  • 吐き気などが何日目に出て、何日続くか(添付文書・審査報告書・最適使用推進ガイドラインに記載を見つけられませんでした)
  • 副作用が出ない人を事前に見分ける方法
  • マンジャロで脱毛が起きるか(マンジャロの添付文書・審査報告書に記載なし)。脱毛が起きる理由と、元に戻るか
  • 寒気・発熱がマンジャロの副作用として起きる割合(添付文書に記載なし)
  • 吐き気止めを一緒に使ってよいか(添付文書の併用注意の表に記載なし)
  • 何年も使い続けたときの安全性
  • 美容・痩身目的で使った人の副作用の割合(PMDA No.18の数は報告の数で、割合ではありません)

読んだ資料:マンジャロ・ゼップバウンド・ウゴービ皮下注SDの添付文書、マンジャロ(2022年)とゼップバウンド(2024年)の審査報告書、ゼップバウンドの最適使用推進ガイドライン、マンジャロの市販直後調査 第2回中間結果、PMDA「医薬品適正使用のお願い」No.18。

受診のときに医師に確認しておきたいこと

  • 吐き気や便秘がつらいとき、量を減らす・増やすのを待つ判断は、どんな状態のときにしますか?
  • どんな症状が出たら、次の注射を待たずに連絡・受診すればよいですか?夜間や休日の連絡先はどこですか?
  • いま飲んでいる薬(ピル・糖尿病の薬・ワルファリンなど)と一緒に使って大丈夫ですか?
  • 吐き気止めや便秘の薬を使いたいとき、どれを使えばよいですか?
  • 食事をどれくらい減らしてよいですか?水分はどれくらいとればよいですか?
  • 手術や胃カメラの予定があるとき、いつからどうすればよいですか?
  • 妊娠を考えているとき、いつやめればよいですか?
  • (自由診療の場合)副作用で受診したときの費用はどうなりますか?救済制度の対象にならない可能性について、どう考えればよいですか?

よくある質問

マンジャロの副作用はいつまで続きますか?

日数の記載は資料に見つけられませんでした。審査報告書によると、吐き気・便秘・下痢・嘔吐は量を増やしていく期間(用量漸増期間)に初めて出る人が最も多く、症状が続いている人の割合もその期間が最も高く、その後減ったと報告されています。

マンジャロの副作用が出ない人もいますか?

試験では、副作用が報告されなかった人もいました。日本人の2型糖尿病の患者の試験(GPGO試験・52週)では副作用発現頻度が5mg群52.8%で、報告されなかった人は47.2%です(当編集部の計算)。誰に出ないかを事前に見分ける方法は、資料に見つけられませんでした。

マンジャロではげる(髪の毛が抜ける)ことはありますか?

マンジャロの添付文書には脱毛の記載が見つかりません。同じ成分のゼップバウンドとウゴービの添付文書には脱毛症(1〜5%未満)があり、ゼップバウンドのGPHK試験では副作用としての脱毛症が5mg〜15mg群で1.1〜1.3%(プラセボ群0.3%)でした。

マンジャロの吐き気に吐き気止めを使ってもいいですか?

自己判断では使わず、処方した医師か薬剤師に相談してください。添付文書の併用注意の表に吐き気止めの記載はなく、つらいときは医師が減量や増量の延期を考えると書かれています。嘔吐を伴う激しい腹痛や、食事・水分が摂れないときは、すぐ受診してください。

マンジャロで寒気や眠気、発熱が出ることはありますか?

マンジャロの添付文書の副作用の項に、寒気・眠気・発熱の記載は見つけられませんでした。ただし日本肥満学会は、強い眠気や意識がぼんやりすることを重症のケトアシドーシスの可能性を示す症状に挙げ、救急要請も含めて直ちに受診を検討するよう書いています。

マンジャロは危ないですか?厚生労働省の通知は何と言っていますか?

承認された2型糖尿病の治療でも、低血糖・急性膵炎・イレウスなどの重大な副作用があります。厚生労働省は2026年6月16日の通知で、適応外で使った場合の安全性と有効性は確認されていないとし、10月14日には美容・痩身目的の使用でケトーシス関連事象の副作用報告を受けていると再周知しました。

ウゴービとマンジャロの副作用の違いは?

どちらも吐き気などの消化器の症状が5%以上と多く、重大な副作用もほぼ共通です。違いは、ウゴービに頭痛(5%以上)・脱毛症・浮動性めまい(1〜5%未満)・不眠症の記載があることと、急性膵炎とイレウスの頻度がウゴービは0.3%と書かれていることです。

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出典