当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

医療情報についてのご注意

当サイトは医療機関ではありません。掲載内容は添付文書・審査報告書・厚生労働省・学会などの公開資料を整理したもので、効果・安全性を保証するものではなく、医師の診断・治療に代わるものではありません。マンジャロ(チルゼパチド)の効能は2型糖尿病で、肥満治療目的・痩身目的での使用は国内で承認されていない目的での使用にあたります。使用の可否・量・リスクは必ず医師・薬剤師にご相談ください。(本記事の確認日:2026年10月31日)

マンジャロとは?ゼップバウンド・ウゴービとの違い|同じ成分でも効能は2型糖尿病と肥満症で別、保険は最大72週

マンジャロ(成分名:チルゼパチド)がどんな薬なのか、同じ成分のゼップバウンドや、ウゴービ・オゼンピック・リベルサス(成分名:セマグルチド)と何が違うのか、保険で使えるのはどんな人なのかを知りたい人に向けた記事です。PMDA(医薬品医療機器総合機構)が公開している添付文書(薬の公式の説明書)、厚生労働省の最適使用推進ガイドラインと通知、日本肥満学会などの資料を読んで整理しました。確認日は2026年10月31日です。

先に大事な点を書きます。マンジャロの添付文書の「効能又は効果」(何の病気に使う薬として承認されたか)は「2型糖尿病」だけです。厚生労働省は、マンジャロやリベルサスなどについて「これらの医薬品を美容・痩身・ダイエット目的で使用した場合の安全性及び有効性は確認されておらず」と書いています。

この記事では、クリニックの自由診療の料金は扱いません。オンライン診療の料金はオンライン診療の料金を7社で比較した記事に、解約・返金の決まりは解約・返金を7社で比較した記事にまとめています。

先に答え:マンジャロとは?ゼップバウンド・ウゴービとの違いと保険適用の条件(2026年10月31日確認)

  • マンジャロとは:2型糖尿病の薬です。成分はチルゼパチドで、週1回、自分で皮下に注射します。GIPとGLP-1という2つのホルモンの受容体(体の中の受け手)に働く「持続性GIP/GLP-1受容体作動薬」です。製造販売元は日本イーライリリー、販売元は田辺ファーマです。
  • ゼップバウンドとの違い:成分は同じチルゼパチドですが、ゼップバウンドは肥満症と中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の薬です。続けて使う量(維持用量)は、マンジャロが週1回5mg、ゼップバウンド(肥満症)が週1回10mgです。どちらの添付文書も、もう一方と一緒に使わないよう書いています。
  • ウゴービとの違い:ウゴービの成分はセマグルチドで、GLP-1受容体だけに働きます。チルゼパチドはGIPとGLP-1の両方に働きます。ウゴービの効能は肥満症と、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)です。オゼンピック(注射)とリベルサス(飲み薬)はセマグルチドの2型糖尿病の薬です。
  • なぜ体重が減るのか:ゼップバウンドの添付文書は、脳でGIP・GLP-1受容体に働いて食欲を調節し、脂肪細胞のGIP受容体に働いて脂質などの代謝を高めることで、体重を減らすと「考えられる」と書いています。マンジャロの添付文書の作用機序の欄は、血糖を下げるしくみの説明です。
  • 保険で使える条件:ゼップバウンドとウゴービを肥満症に使うには、肥満症の診断、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病などのいずれか、BMIの条件(27以上で健康障害2つ以上、または35以上)、6ヵ月以上の食事療法・運動療法などがそろう必要があります。使える医療機関の条件もあります。投与は最大72週間(ゼップバウンド)・68週間(ウゴービ)です。
  • 痩せる目的でマンジャロを使うと:効能(2型糖尿病)の外の「適応外」の使い方で、保険は使えず自由診療になります。厚生労働省は、副作用が出ても医薬品副作用被害救済制度の給付を受けられない可能性が非常に高いとしています。

出典は記事末尾の添付文書・厚生労働省などの資料。

この記事の作り方

  • 参照した資料:PMDAの医療用医薬品の詳細表示(添付文書)=マンジャロ(2026年9月改訂・第11版)、ゼップバウンド(2026年9月改訂・第6版)、ウゴービ皮下注SD(2026年6月改訂・第7版)、ウゴービ皮下注ペンMD(2026年6月改訂・第5版)、オゼンピック(2026年5月改訂・第6版)、リベルサス(2026年5月改訂・第6版)
  • 厚生労働省の最適使用推進ガイドライン=チルゼパチド(肥満症・令和7年3月、令和8年5月改訂)、セマグルチド(肥満症・令和5年11月、令和8年6月改訂)。あわせて、ガイドラインの改正の通知と、保険で使うときの留意事項の通知(保医発0518第4号)
  • 厚生労働省の注意喚起のページ、通知(令和8年6月16日・令和8年10月14日)、中央社会保険医療協議会(中医協)の資料(令和8年5月13日)
  • 日本肥満学会のステートメント(2025年4月10日改訂のものと、2026年10月に出たもの)、製薬会社3社のお知らせ(2025年12月1日)、PMDAの医薬品副作用被害救済制度のページ、製薬会社のプレスリリース
  • 確認日:すべて2026年10月31日(日本時間)
  • 載せないもの:口コミ・体験談、個人の体重の増減の話、クリニックの宣伝、ランキング
  • 今回参照していない資料:患者向医薬品ガイド、くすりのしおり
  • 臨床試験で体重がどれだけ変わったかは体重の変化の記事、副作用は副作用の記事、打ち方や打ち忘れは使い方の記事にまとめています。

マンジャロとは?何の薬?

マンジャロは、日本では2型糖尿病の治療薬として承認されている注射薬です。添付文書の「効能又は効果」は「2型糖尿病」で、ほかの病気は書かれていません。添付文書には、使う前の条件として「本剤の適用は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。」とあります。

マンジャロの基本(マンジャロ皮下注アテオス 添付文書 2026年9月改訂・第11版、PMDAの詳細表示。2026年10月31日確認)
項目添付文書の記載
成分(一般的名称)チルゼパチド注射液
薬の分類(薬効分類名)持続性GIP/GLP-1受容体作動薬
効能又は効果2型糖尿病
使い方週1回、皮下注射。週1回2.5mgから始めて4週間、そのあと週1回5mgが維持用量。最大は週1回15mg
規格2.5mg・5mg・7.5mg・10mg・12.5mg・15mgの6つ(どれも1回使い切りのキット製品「アテオス」)
区分劇薬・処方箋医薬品(医師等の処方箋により使用すること)
販売開始2.5mg・5mgは2023年4月、7.5mg〜15mgは2023年6月
製造販売元/販売元日本イーライリリー株式会社/田辺ファーマ株式会社

マンジャロはどこの会社の薬か、という疑問もよく検索されています。製造販売元の日本イーライリリーは、同社のプレスリリース(2026年6月1日)によると「米国に本社をおくグローバル製薬企業イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人」です。2023年4月18日の発売のプレスリリースには、米国で2022年5月13日に承認を取得し、同年6月7日から「Mounjaro」の製品名で販売を始めたこと、日本では2022年9月26日に承認を取得したことが書かれています。販売元の田辺ファーマは、2025年12月1日に田辺三菱製薬から商号(会社名)を変えた会社です(同社の2025年10月31日のお知らせ)。

マンジャロ 2.5mgと5mgの違いは?

添付文書の用法及び用量は「通常、成人には、チルゼパチドとして週1回5mgを維持用量とし、皮下注射する。ただし、週1回2.5mgから開始し、4週間投与した後、週1回5mgに増量する。」です。つまり、2.5mgは始めの4週間に使う量、5mgは続けて使う量(維持用量)という位置づけです。5mgで効果が足りない場合は、4週間以上あけて2.5mgずつ増やすことができ、最大は週1回15mgです。

添付文書は体重についても触れています。「用法及び用量に関連する注意」に「本剤投与による用量依存的な体重減少が認められているため、血糖コントロールだけでなく、体重減少にも注意し、本剤の増量の必要性を慎重に判断すること。」とあります。また、「投与開始時のBody Mass Index(BMI)が23kg/m2未満の患者での本剤の有効性及び安全性は検討されていない。」とも書かれています。

2.5mgのまま続けた場合や、臨床試験で用量ごとに体重がどう変わったかは体重の変化の記事で扱います。

マンジャロとゼップバウンドの違いは?

マンジャロとゼップバウンドは、どちらも有効成分がチルゼパチドで、同じ「アテオス」という注入器の6規格(2.5mg〜15mg)があります。違うのは、何の病気の薬として承認されたか(効能)、続けて使う量(維持用量)、保険で使うときの決まりです。

マンジャロとゼップバウンドの違い(マンジャロ 添付文書 2026年9月改訂・第11版/ゼップバウンド 添付文書 2026年9月改訂・第6版、PMDAの詳細表示。2026年10月31日確認)
項目マンジャロゼップバウンド
成分チルゼパチドチルゼパチド
効能又は効果2型糖尿病肥満症(条件つき)/中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(BMI27以上に限る)
始める量週1回2.5mgを4週間週1回2.5mg(4週間の間隔で2.5mgずつ増やす)
維持用量週1回5mg肥満症:週1回10mg/睡眠時無呼吸症候群:週1回15mg
増やす・減らす5mgで効果不十分なら4週間以上あけて2.5mgずつ、最大15mg肥満症:5mgまで減量、または4週間以上あけて2.5mgずつ15mgまで増量できる
最適使用推進ガイドライン対象ではない(詳細表示に記載なし)対象品目(使える医療機関・患者・期間の決まりがある)
一緒に使わない薬ゼップバウンド等他のチルゼパチド含有製剤マンジャロ等他のチルゼパチド含有製剤と、その他のGLP-1受容体作動薬等
販売開始2023年4月(2.5mg・5mg)2025年4月

一緒に使わないことは、両方の添付文書に書かれています。マンジャロは「本剤はチルゼパチドを含有しているため、ゼップバウンド等他のチルゼパチド含有製剤と併用しないこと。」、ゼップバウンドは「本剤はチルゼパチドを含有しているため、マンジャロ等他のチルゼパチド含有製剤あるいはその他のGLP-1受容体作動薬等のGLP-1受容体に対するアゴニスト作用を有する薬剤と併用しないこと。」です。

成分が同じなら同じ薬なのでは、という疑問について、日本肥満学会のステートメント(2025年4月10日改訂)は、ゼップバウンドとウゴービについて、2型糖尿病の薬として使われてきた同じ成分の薬(マンジャロ・オゼンピック)とは「これとは独立した臨床試験において、肥満症に対する効果と安全性の検証プロセスを経て上市された別の製剤である。」と書いています。厚生労働省の最適使用推進ガイドライン(チルゼパチド・肥満症)にも、「チルゼパチドを含有する週1回皮下投与製剤(マンジャロ皮下注)が2型糖尿病の治療薬として市販されている。」とあります。

ゼップバウンドの添付文書には、肥満症で使う場合について「患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5mgで治療を継続することも考慮すること。」という記載もあります(忍容性=副作用に耐えられるかどうか)。

ウゴービとマンジャロの違いは?(オゼンピック・リベルサスも)

ウゴービ・オゼンピック・リベルサスは、成分がセマグルチドの薬です。セマグルチドはGLP-1受容体作動薬で、ウゴービの添付文書は作用機序を「内因性GLP-1が標的とするGLP-1受容体と選択的に結合し」と説明しています。チルゼパチド(マンジャロ・ゼップバウンド)はGIP受容体とGLP-1受容体の両方に働く点が違います。

マンジャロ・ゼップバウンド・ウゴービ・オゼンピック・リベルサスの違い(各添付文書のPMDAの詳細表示:マンジャロ 2026年9月・第11版/ゼップバウンド 2026年9月・第6版/ウゴービ皮下注SD 2026年6月・第7版/オゼンピック皮下注2mg 2026年5月・第6版/リベルサス錠 2026年5月・第6版。2026年10月31日確認)
製品成分働く受容体効能又は効果使い方・維持用量製造販売元
マンジャロチルゼパチドGIP・GLP-12型糖尿病週1回の注射。維持用量5mg(最大15mg)日本イーライリリー
ゼップバウンドチルゼパチドGIP・GLP-1肥満症/中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群週1回の注射。肥満症は10mg(5〜15mg)日本イーライリリー
ウゴービセマグルチドGLP-1肥満症/肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(中等度又は高度の線維化がある場合)週1回の注射。0.25mgから4週間ごとに0.5→1.0→1.7→2.4mgと増やし、以降2.4mgノボ ノルディスク ファーマ
オゼンピックセマグルチドGLP-12型糖尿病週1回の注射。維持用量0.5mg(最大1.0mg)ノボ ノルディスク ファーマ
リベルサスセマグルチドGLP-12型糖尿病1日1回の飲み薬。維持用量7mg(最大14mg)ノボ ノルディスク ファーマ

ウゴービには、1回使い切りの「SD」と、ペン型の「MD」があります。添付文書の製剤の形態は、SDが「単回使用のコンビネーション製品」、MDが「4回投与分の薬液を含有するカートリッジをセットした投与量固定、複数回使用のコンビネーション製品」です。MDの販売開始は2025年7月です。効能と用法はSD・MDとも同じです。

ウゴービの添付文書にも、同じ成分の薬と一緒に使わないことが「本剤はセマグルチド(遺伝子組換え)を含有しているため、オゼンピック等他のセマグルチド(遺伝子組換え)含有製剤あるいはその他のGLP-1受容体作動薬等のGLP-1受容体に対するアゴニスト作用を有する薬剤と併用しないこと。」と書かれています。リベルサスの料金はリベルサスの料金の記事にまとめています。

どの薬で体重がより減るか(直接比べた試験の結果)は、今回読んだ添付文書と最適使用推進ガイドラインには、日本で承認された用法どうしを直接比べた試験の記載を見つけられませんでした。

マンジャロはなぜ痩せる?添付文書の「薬効薬理」の書き方

なぜ体重が減るのかは、添付文書の「薬効薬理」(作用機序)の欄に書かれています。ただし、同じチルゼパチドでも、マンジャロとゼップバウンドで書き方が違います。

作用機序の書き方の違い(各添付文書の「18.薬効薬理」、PMDAの詳細表示。2026年10月31日確認)
製品「18.1 作用機序」などの要点
ゼップバウンド(2026年9月・第6版)脳(中枢神経系)のGIP受容体・GLP-1受容体に働いて食欲を調節し、脂肪細胞のGIP受容体に働いて脂質などの代謝を高めることで、体重を減らすと考えられる
マンジャロ(2026年9月・第11版)GIP受容体・GLP-1受容体に結合して、血糖の高さに応じてインスリンの分泌を促す。体重を減らすしくみの説明は作用機序の欄には無い。薬理作用の欄に、胃から食べ物が出ていく速さが遅くなったという試験結果がある
ウゴービ(2026年6月・第7版)GLP-1受容体を介して、食事の量の調節に関わる脳の部分(視床下部・脳幹)に直接働くと考えられる

原文では、ゼップバウンドは「本剤は中枢神経系においてGIP受容体及びGLP-1受容体に作用することにより食欲を調節し、また、脂肪細胞のGIP受容体に作用することにより脂質等の代謝を亢進させることで、体重減少作用を示すと考えられる。」です(亢進=高めること)。マンジャロは「両受容体に結合して活性化することで、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進させる。」です(グルコース濃度依存的=血糖が高いときに働く、という意味)。マンジャロの「胃内容排出速度」の項には、「胃内容排出速度の低下は初回投与後に最も顕著であり、4週間の反復投与で減弱した」とあります。ウゴービは「本剤はGLP-1受容体を介して食事摂取の恒常的調節に関与する脳領域である視床下部及び脳幹に直接作用するものと考えられる。」です。

どの添付文書も「考えられる」という書き方で、しくみがすべて分かっているとは書いていません。また、これらは承認された病気の人に使ったときの説明で、2型糖尿病や肥満症ではない人に使ったときの効き目を示すものではありません。

ゼップバウンド・ウゴービの保険適用の条件は?

ゼップバウンドとウゴービは「最適使用推進ガイドライン」の対象品目です。ガイドラインは、厚生労働省が、どんな医療機関で、どんな患者に、どのくらいの期間使うかを示したもので、日本肥満学会のステートメントは、保険で使うにはガイドラインの施設・医師要件、患者要件、継続・中止の基準を守る必要があると書いています。主な条件を表にしました(肥満症で使う場合)。

肥満症で保険を使うときの主な条件(ゼップバウンド:添付文書 2026年9月・第6版、最適使用推進ガイドライン チルゼパチド〜肥満症〜 令和7年3月・令和8年5月改訂/ウゴービ:添付文書 2026年6月・第7版、最適使用推進ガイドライン セマグルチド〜肥満症〜 令和5年11月・令和8年6月改訂。2026年10月31日確認)
項目ゼップバウンドウゴービ
添付文書の効能で必要な病気高血圧、脂質異常症、耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)のいずれか高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれか
BMIの条件BMI27以上で肥満に関連する健康障害が2つ以上、またはBMI35以上(どちらも同じ)
ガイドラインの患者の条件(診断)最新の診療ガイドラインの診断基準で、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断がある
先に必要な食事療法・運動療法治療計画にもとづく治療を6ヵ月以上行っても十分な効果がない。その間、2ヵ月に1回以上、管理栄養士の栄養指導を受けている
先に必要な薬の治療高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれか1つ以上に、適切に薬物療法が行われている
使える医療機関代謝内科、糖尿病内科、内分泌内科、循環器内科又は内科のいずれかを標榜している保険医療機関。常勤の専門医、学会の教育研修施設、常勤の管理栄養士などの条件もある内科、循環器内科、内分泌内科、代謝内科又は糖尿病内科を標榜している保険医療機関。専門医などの条件もある
使える期間最大72週間最大68週間
続けるかの判定毎月、体重・血糖・血圧・脂質などを確認し、3〜4ヵ月使っても改善傾向がなければ中止

ガイドラインの原文を一部引用します。患者の条件は「当該計画に基づく治療を6ヵ月以上実施しても、十分な効果が得られない患者であること。」「2ヵ月に1回以上の頻度で管理栄養士による栄養指導を受けた患者であること。」「本剤で治療を始める前に高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれか1つ以上に対して適切に薬物療法が行われている患者であること。」です。医療機関の条件(チルゼパチド)は「代謝内科、糖尿病内科、内分泌内科、循環器内科又は内科のいずれかを標榜している保険医療機関であること。」です。期間はゼップバウンドが「本剤の投与は最大72週間とすること。」、ウゴービが「本剤の投与は最大68週間とすること。」で、両方とも「本剤を3~4ヵ月間投与しても改善傾向が認められない場合には、本剤の投与を中止すること。」としています。

また、両方のガイドラインに「痩身・ダイエットなどを目的に本剤を投与してはならない。」とあります。日本肥満学会のステートメントも、ゼップバウンドとウゴービは「低体重や普通体重など適応外の体重者に対し美容・痩身・ダイエット等の目的で用いる薬剤ではない」としています。

ゼップバウンドの「耐糖能異常」は、添付文書とガイドラインで書き方が違う

ゼップバウンドの効能は、2026年5月18日の承認で変わりました。製造販売元のプレスリリース(2026年6月1日)によると、このとき閉塞性睡眠時無呼吸症候群の効能が加わり、肥満症の効能に規定する健康障害に「耐糖能異常等」が加わりました。耐糖能異常は、2型糖尿病の手前の、血糖が高めの状態です。いまの添付文書の効能は「高血圧、脂質異常症又は耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。」です。添付文書の「効能又は効果に関連する注意」には、耐糖能異常等があって高血圧と脂質異常症のどちらもない人に使う場合について、空腹時血糖値・ブドウ糖負荷試験・HbA1cの3つの目安を挙げ、「2型糖尿病の発症リスクが高いと考えられる患者に対して適用すること。」と書いています。

一方、2026年5月に改訂された最適使用推進ガイドライン(チルゼパチド・肥満症)の患者の条件は「高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断がなされ」のままで、耐糖能異常は書かれていません。ガイドラインの冒頭の「対象となる効能又は効果」も「高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し」の書き方です。同じ月の改正の通知の新旧対照表を見ると、このときの肥満症のガイドラインの改正箇所は、施設の項と留意事項の項でした。

添付文書とガイドラインのどちらに合わせて保険の扱いが決まるのかは、今回読んだ資料では分かりませんでした。この記事ではどちらが正しいとは書きません。耐糖能異常(血糖が高め)で、高血圧や脂質異常症がない人がゼップバウンドを保険で使えるかどうかは、受診する医療機関で確かめてください。

ゼップバウンドは何科で処方される?何歳から使える?

肥満症で保険を使う場合は、上の表のとおり、ガイドラインが挙げる内科系の診療科を標榜し、専門医や管理栄養士などの条件を満たす医療機関に限られます。閉塞性睡眠時無呼吸症候群で使う場合は、別の最適使用推進ガイドライン(令和8年5月)と、保険で使うときの留意事項の通知(保医発0518第4号・令和8年5月18日)があり、標榜診療科には内科・循環器内科・呼吸器内科・耳鼻咽喉科が挙げられています。治療計画は「52週以内に投与を中止する計画であること」とされています。

年齢については、ゼップバウンド・マンジャロとも用法及び用量が「通常、成人には」で始まり、添付文書の「小児等」の項は「小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。」です。ガイドラインに載っている日本の肥満症の試験(GPHZ試験)の主な選択基準は20歳以上でした。何歳から使えるかを年齢で区切った記載は、今回読んだ資料には見つけられませんでした。

マンジャロは最適使用推進ガイドラインの対象ではないため、診療科の決まりは添付文書に書かれていません。2型糖尿病の治療として、処方箋で使う薬です。

マンジャロ ダイエットは保険適用?痩せる目的で使うのは

マンジャロの効能は2型糖尿病だけなので、肥満症や美容・痩身の目的で使うと、承認された効能の外の「適応外使用」になります。保険は使えず、クリニックの自由診療になります。マンジャロで保険が使えるのは2型糖尿病の治療としての処方です。

厚生労働省の注意喚起のページ「マンジャロ・リベルサスなどの2型糖尿病治療薬の美容・痩身目的での使用による健康被害にご注意ください」は、「マンジャロやリベルサスなどのGLP-1受容体作動薬等は、2型糖尿病などの治療のために承認された医薬品です。」と書き、続けて「これらの医薬品を美容・痩身・ダイエット目的で使用した場合の安全性及び有効性は確認されておらず」としています。令和8年6月16日の通知(医薬安発0616第16号ほか)も、「製造販売承認された効能・効果や用法・用量の範囲ではなく適応外で使用された場合の安全性及び有効性は確認されておらず」と書いています。

製薬会社3社(ノボ ノルディスク ファーマ、アストラゼネカ、日本イーライリリー)のお知らせ(2025年12月1日)も、マンジャロ・オゼンピック・リベルサスなどについて「2型糖尿病のみを効能・効果として製造販売承認を取得しているものであり」と書いています。

痩せる目的でマンジャロなどを使うときに公的資料が注意していること(厚生労働省の注意喚起のページ、令和8年6月16日の通知、PMDAの救済制度のページ。2026年10月31日確認)
項目資料の記載
安全性・有効性美容・痩身・ダイエット目的で使った場合の安全性と有効性は確認されていない(厚生労働省)
救済制度適応外で使った場合は、重い健康被害が出ても救済給付を受けられない可能性が非常に高い(厚生労働省)
個人間の売買インターネットなどで個人間で売り買いするのは違法(厚生労働省)
広告適応外の医薬品などを使う自由診療の広告は原則禁止。ウェブサイトなどで例外として広告する場合も、費用・リスク・副作用などの情報提供が必要(令和8年6月16日の通知)

救済制度について、PMDAのページは、医薬品副作用被害救済制度を「医薬品等を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害を受けた方に対して、医療費等の給付を行い」と説明しています。厚生労働省のページは「美容・痩身・ダイエット等の目的で適応外使用された場合には、重篤な健康被害が生じたとしても、適正使用と認められず、救済制度の救済給付を受けられない可能性が非常に高いです。」としています。個人間の売買は「GLP-1受容体作動薬等をインターネット等で個人間売買することは違法です。」です。広告については、通知に「国内未承認や適応外の医薬品等を用いた自由診療に関する広告は原則禁止されています。」とあります。

副作用の内容と、すぐ受診したほうがよい症状は副作用の記事にまとめています。

2026年の主な動き(マンジャロ・ゼップバウンド・ウゴービ)

2025年12月〜2026年10月の主な動き(製薬会社のお知らせ・プレスリリース、各添付文書、厚生労働省の通知、中医協の資料、日本肥満学会のステートメント。2026年10月31日確認)
日付出来事
2025年12月1日マンジャロ・ゼップバウンドの販売元が、田辺三菱製薬から田辺ファーマに商号を変更。同じ日に製薬会社3社が、2型糖尿病の薬を美容・痩身目的で使わないようお知らせを出した
2026年5月18日ゼップバウンドに中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の効能が加わり、肥満症の効能に「耐糖能異常等」が加わった。チルゼパチドの最適使用推進ガイドラインは、睡眠時無呼吸症候群の分が作られ、肥満症の分が改正された
2026年6月ウゴービの添付文書が改訂(効能変更)され、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の効能が加わった。セマグルチドの最適使用推進ガイドライン(MASH)が作られた(通知は令和8年6月19日)
2026年6月16日厚生労働省が、GLP-1受容体作動薬などの適正使用についての通知を出した(美容・痩身目的の使用、広告の禁止事項、副作用報告)
2026年8月1日マンジャロの薬価(保険診療の公定価格)が「持続可能性特例価格調整」で引き下げられた。6規格とも改定前より25%低い(当編集部の計算。中医協の資料 令和8年5月13日)。自由診療の料金とは別のものです
2026年9月マンジャロ(第11版)とゼップバウンド(第6版)の添付文書が改訂された
2026年10月日本肥満学会が「安全な減量に関するステートメント」を出し(厚生労働省の10月14日の通知は、10月3日付で周知されたとしている)、インクレチン関連薬(マンジャロ・ウゴービなどの仲間)を使った減量でのケトーシス・ケトアシドーシスに注意を呼びかけた
2026年10月14日厚生労働省が、6月16日の通知の再周知を依頼する通知を出した。美容や痩身を目的に使われた場合で「ケトーシス関連事象に係る副作用報告を受けている」と書いている(薬との因果関係は不明としている)

資料に書かれていないこと

  • マンジャロとゼップバウンド・ウゴービのどれがより痩せるか:日本で承認された用法どうしを直接比べた試験の結果は、今回読んだ添付文書(マンジャロ・ゼップバウンド・ウゴービ)と最適使用推進ガイドライン(チルゼパチド・セマグルチドの肥満症)には見つけられませんでした。
  • 痩せる目的でマンジャロを使うときの量や期間:マンジャロの添付文書の用法は2型糖尿病の治療のためのもので、美容・痩身目的の量や期間の決まりはありません。
  • 耐糖能異常だけの人がゼップバウンドを保険で使えるか:添付文書は効能に耐糖能異常等を含みますが、最適使用推進ガイドライン(令和8年5月改訂)の患者の条件は2型糖尿病のままでした。どちらに合わせるかを書いた資料は、今回読んだ範囲(添付文書・ガイドライン・改正の通知・保医発0518第4号・製造販売元のプレスリリース)には見つけられませんでした。
  • ゼップバウンドとウゴービのいまの薬価:今回は確認していません。
  • 患者向けのわかりやすい説明:患者向医薬品ガイドとくすりのしおりは、今回参照していません。

受診のときに医師に確認しておきたいこと

  • 処方される薬は、マンジャロ(2型糖尿病の薬)、ゼップバウンド、ウゴービのどれですか。保険診療ですか、自由診療ですか。
  • 自分は肥満症と診断されますか。高血圧・脂質異常症・2型糖尿病(ゼップバウンドの場合は耐糖能異常も)のどれに当てはまりますか。
  • 保険で使う場合、6ヵ月以上の食事療法・運動療法や、管理栄養士の栄養指導は、この医療機関で受けられますか。
  • この医療機関は、最適使用推進ガイドラインの施設の条件を満たしていますか。
  • 何週間使う計画ですか。3〜4ヵ月でどう判定しますか。やめたあとはどうしますか。
  • 自由診療で使う場合、副作用が出たときにどこで診てもらえますか。救済制度の対象にならない可能性について、説明を受けられますか。
  • いま飲んでいる薬や、ほかのGLP-1受容体作動薬などと一緒に使って問題はありませんか。

よくある質問

マンジャロとは何の薬ですか?

2型糖尿病の薬です。成分はチルゼパチドで、週1回皮下に注射する「持続性GIP/GLP-1受容体作動薬」です。添付文書の効能又は効果は2型糖尿病だけです(マンジャロ 添付文書 2026年9月改訂・第11版)。

ゼップバウンドとマンジャロの違いは何ですか?

成分は同じチルゼパチドですが、効能と維持用量が違います。ゼップバウンドは肥満症と中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の薬で、肥満症の維持用量は週1回10mgです。マンジャロは2型糖尿病の薬で、維持用量は週1回5mgです。両方の添付文書が、一緒に使わないよう書いています。

ウゴービとマンジャロの違いは何ですか?

成分と働く受容体が違います。ウゴービはセマグルチドでGLP-1受容体に、マンジャロはチルゼパチドでGIP受容体とGLP-1受容体の両方に働きます。効能も、ウゴービは肥満症とMASH、マンジャロは2型糖尿病です。

マンジャロはなぜ痩せるのですか?

マンジャロの添付文書の作用機序の欄は、血糖を下げるしくみ(インスリン分泌の促進)の説明で、体重を減らすしくみは書かれていません。同じ成分のゼップバウンドの添付文書は、脳で食欲を調節し、脂肪細胞で脂質などの代謝を高めることで体重を減らすと「考えられる」と書いています。肥満症ではない人に使った場合の効き目を示すものではありません。

マンジャロのダイエットは保険適用されますか?

されません。マンジャロの効能は2型糖尿病だけなので、痩せる目的で使うと適応外となり、自由診療になります。厚生労働省は、美容・痩身・ダイエット目的で使った場合の安全性と有効性は確認されていないとしています。

ゼップバウンドやウゴービを保険で使える条件は?

肥満症と診断され、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病(ゼップバウンドの添付文書では耐糖能異常等も)のいずれかがあり、BMI27以上で健康障害2つ以上またはBMI35以上で、6ヵ月以上の食事療法・運動療法でも十分な効果がない人です。決まった条件を満たす医療機関で使い、期間は最大72週間(ゼップバウンド)・68週間(ウゴービ)です(最適使用推進ガイドライン)。

マンジャロ 2.5mgと5mgの違いは?

2.5mgは始めの4週間に使う量で、5mgは続けて使う量(維持用量)です。添付文書の用法は、週1回2.5mgから始めて4週間投与したあと、週1回5mgに増量する、です。最大は週1回15mgです。

関連記事

出典